出世・昇進は全員が喜ぶことなのか?
あなたは、出世を打診されたら嬉しいですか?
わたしは全く嬉しくありませんでした。
わたしが出世したくない理由は「失うものが多い」からです。
理由は、出世すると確実に「プライベートな時間」が少なくなるからでした。
わたしと同じように、昔に比べてワークライフバランスを重視する人や出世にこだわらない人が増え、生き方や価値観の多様化によって出世したくないひとが増えているようです。
昔、会社で昇給の面談があったときのことです。
自分は管理する側は向いていないことや、今の働き方が合っているというようなことをやんわりと伝え、断る方向で話をしたところ、
「なぜ昇給を喜ばないのか意味が分からない。つまり仕事をやる気がないということか?」と、こちらは昇給させてあげているんだぞ、という態度で言われました。
「昇給は、誰もが絶対に喜ぶものだ」と決めつけているのです。
きっとこの上司は「出世こそがすべて」という価値観だけで生きてきて、それ以外の価値観が理解できなかったのかもしれません。
わたしにも30歳前半くらいまでは、出世し役職がつくことが嬉しかった頃もありました。
当時は、この会社に必要な存在だと認められているような高揚感もあり、責任感が強かったわたしは、毎日熱心に仕事に取り組んでいました。
でも頑張れば頑張るほどサービス残業などで自分の時間もなくなり、社内の狭い競争にどんどん巻き込まれていく中で、価値観は変わっていきました。
本来であれば、出世は会社内での地位や立場が上がり、仕事の裁量も大きくなり、給料も増えるため良いことが多いイメージがありますよね。
出世で得れるメリット
・給料が上がる
・地位や立場やが上がる
・マネジメントスキルを学べる
・やりたいように仕事ができる
・やりがいができる
このように、出世するということは、喜ぶべきことだ、めでたいことだ、という世間の風潮はまだ根深く残っています。
もちろん、会社員であれば一般社員より肩書があったほうが、場合によってはメリットがある場合もあります。
対外的にも、先方にも真剣に向き合ってもらえる可能性も高くなりますから。
でも、出世をするためには会社のために尽くさなければならず、残業などの激務を当たり前に引き受け入れたり、社内の交流にも積極的に参加することも、仕事のひとつになります。
つまり、会社にとって都合が良い人材でなければならなくなります。
また、どんなに仕事の成果が出ていたとしても、結局は、あなたを出世させるかどうかを決めるのは、上司です。
たまたま上司との相性が悪かったり、部下へ嫉妬が強かったり足を引っ張るなど人間的に未熟な上司だった場合、どれだけあなたが仕事で成果を上げていたとしても出世できなくなってしまうことも十分あります。
それに、会社によって出世する定義は違ったりします。
たまたま人不足で、仕事の成果ではなく社歴順で役職が付いている場合もあります。そのため「役職=仕事が出来る人」ではないことも多いにあるのです。
なので、取引会社の担当者に役職が付いていたとしても、役職=仕事ができる人と安易には考えませんでした。
わたしが出世に興味がない理由
わたしは、出世で給料が上がることにあまり興味がありませんでした。
役職が付くことで上がる給料なんてたいした額ではないと思いますし、それよりも、自分の時間が無くなるほうがデメリットでしかなかったからです。
また、地位や立場が上がることは、給料以上に興味がありませんでした。
逆に欲しくないとさえ思っていました。
先ほどもお伝えしましたが、会社にとって都合がいい人材にならなければならないからです。
役職を受けれたということは、少なくても会社に服従することに同意したであるも同然だと思っていました。
もちろん会社から給料をもらっている限り、仕事をやることは前提です。
でも、自分のプライベートの時間を会社に捧げるような忠誠心はもとより、何にもならない仕事外のムダな飲み会、面白くない上司の自慢話や、いかに自分が社畜かの武勇伝、求めていない人生論のアドバイス、それを微笑みながら聞かなければならない。
何も生み出さない地獄の時間でしかありません。
わたしは、基本、会社の人と飲みに行くことはめったにありませんでした。
個別な相談を受けたり、自分のチームに入ったひとの歓迎会やお世話になったひとの送別会などは行くことはありますが、基本は誘われてもお断りします。
わたしの偏見かもしれませんが、会社の数人で飲み会となると、だいたい愚痴の吐き出しか、プライベートを聞き出してネタとして盛り上がります。
深い内容の話になることは、ほぼありません。
こういったいわゆる、飲みに行き、仕事の不満や愚痴を吐き出して、誰かと傷を舐め合うことでストレス発散でき、また明日から頑張れるというひとは行くことにメリットがあるかもしれません。
でも、わたしは逆にこういった場こそがストレスになってしまうのです。
会社の愚痴を言い合っても何にもなりません。誰かに聞いてもらい自分の味方になってもらうことで、承認欲求を満たしたいだけです。
であれば、わたしは本を読んだり、ジムで運動したり、そういった自己研鑽をするほうがストレス発散になるのです。
会社の飲み会を断る勇気
会社の飲み会を断ると、良く思わないひとも当然ながらいます。
自分は気が進まないけど行くのに、行かない人はせこい
こう思うのは、ただ自分に断る勇気がないだけです。行きたくなければ、断ればいいのです。しかもこういった人たちは、自分自身の裏の目的に気付いていないことが多いです。
「断らず行く」ことで、まわりから嫌われたり仲間外れにならないという自分自身の目的を達成するために「断らず行く」ことを選んでいるわけですから。
わたしの場合、嫌々行くことに何もメリットがありません。
断ることで嫌われてもいい(仕方ない)と思っているからです。なので「断る」選択をしているわけですね。
あの人はコミュニケーションを取る気がないんだ
飲み会に行かない=コミュニケーションがいらないと思っているのは、そのひとの価値観でしかありません。職場以外での飲みにケーションはお互いを知れるひとつの場だというのは否定はしませんが、そこに参加するかしないかは、そのひとの価値観だったりします。
自分と違う価値観を認められず、自分の考え・価値観こそが正しいと思い込むようなひとは、当然のように他人に自分の価値観を強要したり、参加の可否は関係ない仕事の評価に結び付けたりします。
そんな人が集まる飲み会は当然行く気もしないです。
わたしの経験から言うと、正直、会社のひとたちと大勢で飲みに行ってもたいして深い話はできなかったりします。
誤解をしてほしくないのですが、断る際に伝え方の配慮は必要だと思います。
あえて「わたしはその飲み会にメリットを感じません」など、相手を否定するようなことを言う必要性はないのですから。
会社という組織に入っている以上は、最低限の配慮は必要だと思います。
出世で態度が変わる人
出世することで徐々に偉そうになっていく人や、威圧的になったり、変な自信に満ち溢れるようになる人もたくさん見てきました。
そういった狭い世界で生きていることを、自ら全面的に押し出している人を見ていると、わたしはこの世界には合わないんだなといつも感じていました。
年下の上司や出世した同期に対して劣等感を抱いたり、一度は昇格しても今度は降格に怯えたり、そんなひとつの会社の小さな枠組みの中で、自分の価値や居場所を追い求めるかのように生きる生き方に、わたしはずっと違和感がありました。
誤解をしてほしくないのですが、そういった組織の枠組みを否定しているのではありません。
ほとんどの企業はピラミッド型になっているので、その中で出世争いがあるのは当然のことで、そこに葛藤するひとたちがいて当たり前だからです。
でも、わたしはそういった現実にふれるたびに、よりいっそう「ここを抜け出さなければ」と思うのでした。
どちらも間違っているわけではありません。
自分が選択する価値観や信念によって、大切にすべきものは変わってきます。
ですので、今の会社で成功したいと思っているひとは、出世するほうが「得れるもの」が大きいと感じるはずですし、
一方で、自分の時間や家族と過ごす時間を大切にしたいと考えるひとは出世で「失うもの」が大きいと感じるはずです。
あなたがどんな環境を選ぶのか、なにを選択するのかは自由です。
あくまで意思決定をするのはあなた自身なのですから。
わたしは、企業の中で生きていくよりも、自分で稼いでいく道を進むことにしたのでした。